第四十六話
誰かを傷付けて得るモノ



優の反応を見ながら、ゆっくりと自分の性器を優の中へ入れていく。

「んっ・・ぁ、んぅ!!」

奥へ入っていく程、優の反応が激しくなっていく。
優だけじゃない。オレ自身も優の感触が気持ち良くて・・・
中はすごく濡れていて、でもすごく狭い・・・
これだけ濡れていれば普通はすんなり入るはずなのに、
優の中はオレのモノを必死に押し出すように締め付ける。

「ぅ・・奥まで入ったよ。」

「うん・・・わかる、よ?」

やばいな・・・なんだろう。
優とは久しぶりだからか?だから興奮してる?
興奮しているからか、動いていなくてもすごく気持ち良い・・・

「痛いとか・・・ない?」

「大丈夫・・・でも、動くのはまだ待って・・・」

「わかった。」

優は息を整える。
オレもすぐ動かしたらイってしまいそうだし、丁度良かった・・・

「彰・・・」

「ん?」

「顔、こっち・・・」

優はオレの背中に手を回し、オレの顔をぐいっと自分の顔に近づける。
唇が触れ、そして激しく舌を絡ませる・・・

それだけじゃない。
オレ達は正常位の体勢だが、優は足をオレの腰に絡ませる。
その状態で、しばらくお互いの舌の感触を楽しむ。

すごいな・・・
ホントに、今日の優は大胆だ・・・

「んっ、ふぁ・・・いいよ彰、来て・・・」

「わかった。動くよ・・・」

動かずにずっとっていうのも、やっぱりもどかしい。
でも動かなかったおかげでオレのモノは回復した。しばらく頑張れる・・・
優を絶対に満足させたい。二人で満足してこそのエッチだ。

「くっ、はぁ・・・
んあっ!!やっ、い・・あぁ!!」

まだ激しく動かず、ゆっくり動く。
優の中の感触をしっかり確かめるように・・・

「ひっ・・ん、んぅ、んんん!!」

自分の声の大きささに気付いたのか、
優は自分の指を咥え、声を出さないようにしている。
声を我慢するその仕草が更にオレを興奮させる・・・

「はっ、くっ・・・」

ダメだ、まだ我慢しろよオレ・・・
オレは綾音をイカせる事が出来たんだろ?
だったら・・・優だって・・・

「あっ・・なんか、ぁっ!!すごい、よぉ・・・」

「オレも・・・気持ち良いよ・・・」

優の締め付けが更にキツクなる。
綾音のときもあったこの感覚・・・

「優・・・もうイキそう?」

「んんんっ!!あっ・・かも、しれない・・・」

もうすぐだ・・・
だからもう少し頑張れよオレ・・・

優と付き合ってから今まで、ずっとオレの中で残り続けたモノがやっと・・・

「優、オレもすぐだから・・・
だから一緒にっ!!」

「っぅ、いいよ、もう・・・!!」

優の身体がビクビク痙攣し始める。
それは、優の限界がすぐそこまで来ているということ・・・

「あ、あぁ!!んあぁぁぁぁぁぁぁ!!」

大きな喘ぎとともに、優の身体は大きく仰け反る。
優がイッた・・・その安心で、今まで我慢していたモノが一気に噴き出しそうだ。
急いでオレは自分のモノを優の中から抜く。
そして・・・

「く・・・!!」

抜いた瞬間、白い液体が勢いよく優の腹部に吐き出された。
大量に濃い液体が・・・

「っ・・は、はぁ・・・」

「優・・・イけた・・・?」

「ん・・ぁ、うん・・・
初めて・・・だね。イッたの・・・」

「やっと・・・オレは・・・」

優と別れてからも、ずっとオレは悩んでいた。
自分が優を満足させる事が出来ない事に・・・
それは綾音と付き合っているときでもずっと・・・

でも、オレは・・・もう良いんだ・・・
やっとオレは自分の過去を振り切れたような気がした・・・

「はぁ、っぁ・・・」

「優、大丈夫?」

「あ、うん・・・大丈夫。
気持ち良かったからかな・・何か脱力してるっていうか・・・」

オレの目の前で、服を何も身に着けていない優。
そしてお腹の上に大量の白い液体を出され、息を切らしている。
そんな姿がすごくエロくて・・・
だからイッた後だっていうのに、オレの身体は反応する・・・

「優・・・」

「え?どうしたの・・・?」

「まだ優としたい・・・
なんか今日の優、すごく興奮するから・・・」

「・・・いいよ。私も・・・」

「じゃあ・・・」

「あ、でも・・・
次からは付けて欲しい、かな・・・」

「わかった。ちゃんと持ってるよ。」

前、プールの帰りに綾音とエッチをしたときから、
いつ何があってもいいようにゴムは常に持っている。
しかも一つだけではなく、何枚も財布の中に・・・

まさか、これを優に使う事になるとはね・・・

でも、今のオレには優が全てだから・・・
もう綾音とはダメなんだよ・・・

これが、オレがずっと望んでいた事だったんだ。
オレは優とこうなりたかったんだ。
別れてからも、ずっと優ばかり思っていたんだよ、オレは・・・





何度も身体を重ね、そしてオレ達は朝まで布団の中で話した。
別れてからもずっと好きだった事、そんな恋人らしい会話をずっと・・・

初めて優と一晩を過ごす。
布団から見る朝日・・・こういうの、何か恋人みたいで良いな。
綾音に色々マニアックな事をしてきたが、こういう普通な恋人らしさにも憧れていたのかオレは・・・

「オレは・・・優と一緒がいい・・・」

「私も・・・」

優の気持ちもオレと同じだ。
もう一度、過去を振り切って、二人でやり直す・・・

「でも・・・彰は・・・」

「分かってる・・・」

優と一緒になるには・・・
オレにはやらなきゃいけない事がある・・・

「明日・・・あ、朝になったから今日か。
綾音に言うから・・・終わりにするって・・・」

「うん・・・」

どうやって綾音に言えばいいのか、
どう言えば自分も綾音も傷付かず終わらせられるのか。

そんな都合の良い事なんて・・・
結局誰かが幸せになるには、誰かが傷付かないとダメなんだ。
みんな幸せになる事なんて絶対に無理なんだよ・・・

誰かが傷付くのを恐れて、自分は何もしないって・・・
そんな中途半端が一番ダメだから・・・

だから今日オレは・・・
綾音とケリをつける。それが綾音を傷付ける事になったとしても・・・





「それじゃ、オレ帰るよ。」

「うん。気を付けてね。」

「ありがと、優・・・
それじゃ・・・」

「頑張って、で良いのかな。
私は応援する事しか出来ないけれど・・・」

「大丈夫・・・じゃあね。」

「うん・・・」

今の時間は午後2時。
結局、オレ達はあれから少し睡眠をして起きたのが昼だ。
せっかくだからということで、優手作りの昼食を頂いて、ゆっくりして・・・
そして今からオレは家に帰るところだ。

正直、こういう事はちゃんと会って話すのが良いんだろうけど・・・
やっぱ面と向かって言うのは難しいよ・・・
優と別れるときは・・・そうだ、優のときは面と向かって言ったな・・・
でも優は理由を深く聞かず、もう全て分かってるような感じだった。
やっぱり、昔から優はオレの事を本当に良く理解してくれる人だった・・・

でも、それは優が特別なだけであって、
綾音は・・・綾音の性格を考えると、絶対に簡単にはいかないと思う。
分かってるよ、そんなことは・・・
面と向かって言うのが怖くて、メールで済まそうとしている情けない自分はさ・・・

優も綾音も、三人で仲良く・・・
そんなゲームのような展開なんて、現実では有り得ない事も・・・
そんな事が現実で可能なら、どれだけ救われるか・・・
誰も傷付かないエンディングなんて・・・ある訳が無いんだよ・・・

結局、オレは自分の幸せの事ばかり考えて・・・
自分が幸せになるためだったら、優と幸せになるためだったら・・・
あれだけ好きだと思ってた綾音を傷付ける事になっても・・・

オレは家に着き、さっそく綾音にメールをする。
家に入ると、母親が何かうるさく言ってきたが無視だ。
今は説教を聞いてる暇はないんだよ。

『ごめん、いきなりのメールで。
オレ等さ、もう別れた方が良いと思う・・・
綾音の事は好きだったけど、もう無理のような気がするからさ・・・』

別れよう、じゃない。
別れた方が良い、という相手に意見を求めるメール・・・
本当に卑怯だな、オレは・・・

これで、綾音から『分かった』とメールが来れば、
すんなり別れる事になる・・・

まだ綾音を好きだって気持ちはあるさ。
でも、やっぱオレには綾音より、優が良いから・・・
だから、ごめん・・・

メールを送ったはいい。
が、しばらく待っても返事が帰って来ない・・・
今日はバイトか?

オレのバイトはとっくに冬休みだが、飲食店にもなるとそうはいかないからな。
ガーデンなんか年中無休24時間営業だし。
年末年始は特に忙しくて、実家に帰るとかでガーデンに出勤出来ない人間もいる。
だから年末年始は、出勤出来るメンバーで毎日フル稼働状態だ。

まぁ、待つしかないよな・・・
昼間まで寝てたといっても、やっぱちょっと眠いな・・・
身体も動かしたし、睡眠時間も短かったし。
少し昼寝でもするか・・・





「ん・・・」

今、何時だ・・・?
枕元の時計を見る。時間は・・・17時半。
寝すぎだろ、常識的に考えて・・・
目覚ましくらい掛けとけよな、オレ。

外を見ると、空はもう暗ぇし・・・
こんな時間まで寝てると、すごい時間を無駄にした気分だ・・・

「・・・・・」

ま、いいや。綾音からメールが来てるか確認するか。
オレは携帯を開く・・・そして・・・

「なんだよ、これ・・・」

メールが何十件も来ていた。しかも着信件数もだ。
着信履歴が全部綾音で埋まるほど掛かって来たのかよ・・・

メールの内容は、最初の方は感情的にオレに対して文句を言っているものばかりだった。
『いきなりそんなの酷い』、『彰だってめぐと仲良くしてたじゃん』、等など・・・

だが後半に行くと、そんな怒りの内容はまったく無くなり、
なんというか・・・

『ごめんなさい・・・
でもあの人とは何もしてないし、ただ相談に乗ってもらってただけだから・・・』

『無視しないでよ・・・
本当に悪いと思っているから・・・』

『ねぇ。お願いだから無視しないで・・・』

また酷い罪悪感に襲われる。
こんなの、オレが全部悪いみたいじゃないか・・・
こんなメールを見て、オレは一体何て返事を返せっていうんだよ・・・


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