第四十五話
オレの気持ち



家に帰ってからも、ずっと綾音の事を考えていた。
綾音はやっぱり、ああいう男が良いんだって・・・
こんな寒い日に、年上の男と仲良く地面に座って話すくらいだ。
やっぱりオレはダメなんだよ・・・オレみたいな男は・・・

オレに、綾音の事だけを悪く言う資格なんて無いのは分かってる。
分かってるが、人間どうしても割り切れないものがあるんだよ・・・

綾音を許せない・・・
そんなに年上が良いなら、また年上と付き合えばいい。
もう・・・オレには無理だ・・・

綾音の事で色々あって疲れた。本当に・・・
まだ正式に別れた訳じゃないが、近い内そうなるだろう。
もうオレがダメなんだから・・・
彼女もいなくなって、オレには何もない・・・

綾音を失う事、今まで当たり前に存在したものを失う事で、
オレは酷く孤独を感じるようになる・・・

少しでも寂しさを紛らわすために携帯を開く。
そして、いつもの癖でメール画面を開いてしまうが・・・
でも携帯には綾音とのメールばかりで・・・
こんなにも楽しかったのに・・・楽しそうに会話しているメールを見てると余計辛くなる・・・
誰かに愚痴りたい、話を聞いてもらいたい・・・
そう思ってメモリを見ても、オレにはそんな相手は誰もいない。
圭介は彼女が出来てからはまったく遊ばない。
高校であれだけ仲の良かった田中と石井も、もう連絡を取らない。
オレは・・・本当に一人なんだ・・・

いや・・・あいつがいた・・・
念のために適当な男の名前で登録してある子が・・・
オレはそいつに電話を掛ける。時間はもう日付が変わるかどうかだ。
こんな夜遅くの電話だが・・・それでもオレは電話を掛ける。

『はい、もしもし。』

「もしもし、優・・・?」

『彰?どうしたの?』

「夜遅くにごめん・・・
でも、今から優に会いたい・・・」

『・・・またあの子の事?』

「・・・・・」

『いいよ、おいで。』

「ごめん・・・」

電話を切る。
やっぱり、相談出来るのは優だけなんだなオレには・・・
オレはコートを羽織って、優の家に向かう・・・

オレは・・・いつも優に頼って、どうしたいんだろう・・・
綾音と付き合ってる身でありながらも、ずっと優に甘えていた。
だったら・・・オレの気持ちは・・・?





優の家の前に着き、インターホンを鳴らす。

『はい。』

「あの・・・彰だけど・・・」

インターホン越しにオレの声を確認すると、玄関の扉が開く。

「何か・・・あった?」

「・・・・・」

優の問いに、オレは何も答えられなかった。
こんな辛いときに、優に会えて、優の声を聞けて・・・
ダメだ・・・安心したからか、涙が出そうだ・・・
喋ったら声が震えるだろうし、泣きそうなのがバレる。

「・・・いいよ、上がって。」

そういう部分も優は気付いているんだろうか。
だから、しつこく聞かない。

オレは頷いて、優の部屋に上がる。
部屋に入ると優の匂い・・・久しぶりだな、この部屋の匂いも・・・

「飲み物淹れるから、適当に座ってて。」

「わかった。」

本当にオレは・・・どうしたいんだ?
一度別れた女だというのに、未だに優が気になっている自分。
自分がどうすればいいかわかんないよ・・・

「彰、コーヒーだよ。」

「ありがと・・・」

自分の気持ちがわからない・・・

「いいよ、何でも聞いてあげるから・・・話して?」

わからなくても、オレは優を求めている・・・

「オレは・・・もう綾音とはダメかもしれない。
アイツは男とたくさん付き合ってきたし、それも相手は年上ばかりだし・・・
やっぱり、オレみたいな子供はダメで・・・だからまた年上の男と一緒なんだよ・・・」

だから、こんなにも自分の気持ちを正直に何でも話せる。

「・・・・・」

こんな男なんて、軽蔑するかもしれない。
でも、オレの事を優にもっと知って欲しくて・・・

「ずっとオレと付き合ってても、アイツは絶対オレと年上の男と比べて・・・
オレと付き合うのを物足りなく思ってたりしてる・・・」

「彰・・・」

オレの名前を囁いて、優はオレの手を握る。
優しく、安心してとでも言うかのように・・・

「もう、大丈夫だから・・・」

そのまま優はオレに顔を近づける。そして・・・

「優?・・ぅんっ!?」

何をした?いきなりの事で思考が止まって何が何だか・・・
もしかして、今キスをした、のか?

「なんで・・・?」

「彰、あの子と一緒だと苦しむだけだよ・・・」

「・・・・・」

「あの子の元彼や、その時のあの子にも嫉妬して・・・
あの子を好きになればなるほど、辛い思いしてるじゃん?
それじゃ彰がダメになる・・・」

わかってる・・・

「そう、かもしれない・・・」

「彰・・・もうあの子と一緒じゃない方が良い。」

「っ・・・」

わかってるよ。そんな事は。
でも一人じゃ決められなかったんだよオレは・・・
誰かに決めて欲しくて、それが優で・・・

「オレは・・・」

「あの子じゃ、彰を幸せに出来ない・・・」

もう答えなんて出てたじゃないか・・・
オレはもう綾音とはダメだって。
もうこれ以上、自分が傷付くのが怖いんだよ・・・

「・・・・・」

「でも、私なら・・・
彰に悲しい思いはさせないから・・・」

オレは・・・
今まで誰かと群れるのが嫌だった。人といるのが鬱陶しいから。
仲良くなってもいずれ裏切られ、そして傷付くんだよ。
だったら、最初から一人でいればと思った。

「正直、自分でもどうしたら良いかわからない・・・
こんな目に合っても、まだあいつを好きだって自分がいる・・・」

「分かるよ・・・」

でも本当は、ずっと誰かに甘えたかったのかもしれない・・・
だから、人との接触を恐れなくてもいいゲームに逃げていたんだろうか?
ゲームの中でのオレは、誰からも必要とされて、現実とは完全に逆だったから・・・
その中でのオレという主人公は、裏切られる事は無かったから・・・

「でも・・・
もう綾音とは無理で、優が良いっても思う・・・」

でも、そんなオレでも誰かに必要とされていたんだ。
咲崎優、桜井綾音に・・・
優はずっとオレを必要としてくれて、でもそれに応えられなくて辛くて、オレは逃げてしまった。
綾音も必要としてくれていたけど・・・
綾音はオレより、年上の男を選んだ。オレが必要無くなったからだ。

「じゃあ・・・」

一度は優から逃げてしまったオレだけど・・・
オレはもう一度、優と向き合いたいと思った。
そのときの気持ちは、本当だと思うから・・・

今度は、オレが優の手を握る。
やっぱりオレは・・・優が好きなんだ・・・

オレ達は唇を重ねる。
それは、さっきのような触れ合うだけのキスじゃない。
舌と舌を絡ませるエッチなキス・・・
久しぶりの優とのキスは、何だか甘い味がした。
綾音とは違う味・・・忘れていた懐かしい味・・・

オレはというと、優の家に来る前にタバコ吸ってたからな・・・
タバコ臭いって思われていないだろうか?
だがオレは、もっと優の舌の感触を味わいたい。
優ももっと味わいたいのか、オレの身体を抱き締める。
だからタバコの臭いなんて気にせずオレは続ける。
優の舌に自分の舌を激しく絡ませ・・・

「オレは・・・やっぱダメな男だな・・・」

「いいじゃん。二人でダメになろうよ・・・」

まだ綾音との事だって、ケリを付けた訳じゃないのに・・・
綾音に対して罪悪感は感じるよ、オレだって。
綾音より最低な事をしているんだから。自分勝手だよ、オレはさ・・・
でも、止められないから・・・

「優・・・」

「いいよ、彰のしたいように・・・
私も・・・だから。」

優にもっと触れたくて、もっと身近に感じたくて、
もっと優に必要とされて、自分が安心したいから・・・

オレはもう一度優にキスをし、ブラウスのボタンをゆっくり外していく。
優は社会人だからか、着ている服もやっぱり大人ぽい。
昔からすこし地味だなとは思ったが、今は綺麗なお姉さんみたいで・・・

「彰とこういうの、初めてじゃないんだけど・・・なんか緊張するね。」

「そうだね・・・」

手だって微妙に震えてるし、オレだってすごく緊張してるよ・・・
ブラウスのボタンを全て外し、ブラのホックを外す。
そこには、昔と何も変わらない小振りな胸が・・・

「あの時から、胸変わってなくて小さいままだけど・・・」

「全然良いよ・・・」

胸が大きいか小さいかなんて、遺伝や食生活等、色々原因はあると思う。
でも綾音はたくさんの男と付き合って、たくさん揉まれて・・・
自分の考えが間違ってるって分かってるけど、
アイツの胸が大きいのは、男にたくさん揉まれたからだって思ってしまう。

優は違う・・・

優はオレ以外の男を知らないから・・・
オレが初めてだから・・・
だから誰にも胸を揉まれていない優の胸はこんなに小さいんだ。

オレは優の胸に顔をくっつける。
そうすると落ち着くから、優の匂いをもっと感じれるから。

「すごいね・・・優の心臓の音。」

「緊張してるって言ったよね・・・あっ。」

胸に触れると、優の身体がビクっとする。
小さくても感度も良いし、触り心地も良い。
そんな感触を懐かしく思いながら、乳首を口に含める。

「ん、くっ・・・」

乳首を吸ったり、甘噛みしたり、手のひらで転がしたり・・・
特に変わった事でもなく、極々普通の愛撫・・・
それでも優は、声を我慢しながら悶える。
演技じゃなく、本当にオレで感じてくれているんだ・・・
すごく嬉しいよ、こんなオレでもさ・・・

綾音ともたくさんしてきたし、自分でも昔よりは少しはうまくなったかなと思う。
昔のオレには出来なかった事だって、たくさんある。
でも、今のオレだったら・・・それを実現出来るのかもしれない・・・

「っ!ひっ・・!!」

オレは焦らすように優の太ももに触れる。
太ももを撫でるだけで、大事な部分には触らずに・・・
それは、意味の無い時間稼ぎ・・・
このまま優としたいけど、前みたいに傷付くのが怖いから・・・
だからオレは続きをする事に躊躇している・・・

でも優は虚ろな目で、ズボンごしにオレのモノに触れる。
それを求めるように・・・

「彰・・・いいよ、入れて欲しい・・・」

「・・・・・」

この後に及んで、まだオレは恐怖を感じているのか・・・
また失敗して、優が気にしないでって言って・・・

「気にしないで・・・私は大丈夫だから・・・」

「っ・・・!!」

オレはもうあの頃のオレじゃない・・・
今のオレだったら、優をちゃんと満足させてやれるかもしれない。
もう・・・あんな思いはしたくないんだよ・・・

「もう・・・大丈夫だから。
今度は優を・・・頑張るから・・・」

「うん・・・」

「じゃあ・・・入れるよ・・・」

オレは優の下着を脱がす。
すごい・・・
下着から愛液が糸を引いていて、それほど優のそこは濡れている。
ここまで優がグチョグチョなのは初めてかもしれない・・・

優の下着を脱がし終わり、オレも自分のズボンと下着を脱ぐ。
そして、濡れたそこに自分のモノを押し当てる。

「んっ、くっ・・!」

押し当てただけで優の身体が反応する。
ここまで来たらもう後戻りは出来ない・・・オレは優が好きだから・・・
だから、今度こそ・・・

「オレは、もう優から逃げないから・・・」

そのとき、優が優しく微笑んだ気がして・・・
不思議と安心した。ありがとう・・・

そして・・・
オレは自分のモノを、優の中へとゆっくり入れていく・・・


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