第五話
仲間を求めて


広い高原で一人の少年の声が木霊する



「テメェ一体何のつもりだ!!」



「・・・・・・」



「・・・じゃねぇよ!!」



スラップがデジュンとドクターNの間に入る



「もうよせデジュン、こいつが助けてくれなければオレ達は間違いなく殺されていた・・・」



「くっ・・・!!」



「ふむ、スラップの方が賢いじゃないか」



「テメェっ!!」



デジュンの一度は収まりかけた怒りが再び燃え上がる



「オマエは少し黙ってろ」



スラップの膝蹴りがデジュンの顔にヒットし、デジュンはその場に倒れた



「・・・それで、オマエの目的は何だ?何故オレ達を助けた?」



先程までは穏やかだったスラップが鋭い目付きで睨みながら問い掛ける



「その目付き、態度、あいつにそっくりだな・・・」



「何言ってるんだお前は?」



「いいか、これから言う私の言う事は何一つ疑う事なく聞いて欲しい」



ドクターNは急に真剣な表情、いや顔も白タイツで覆われているため真剣かどうかはわからないが

何となく真剣に思えたため、スラップは怒りを落ち着け、耳を傾けた



「率直に言おう、キミ達は1000年以上昔にガイアを封印した伝説の勇者の転生した姿だ」



「は?」



「ガイアだって!?」



何言ってるのかわからないといった表情のスラップの後ろで、デジュンが起き上がった



「そう、クリーチャー達の長、ガイア・・・

 遥か昔、4人の勇者によって封印され、

 ファルスティアからはクリーチャーが消え、平和になるはずだった・・・」



「オレが生まれたときには既にクリーチャーは存在していたが、

 そのガイアとやらが復活したとでもいうのか?」



「そうだ、およそ100年前にガイアは復活し、昨今ではクリーチャー達の動きも活発になってきている」



「奴らのせいでオレの村が・・・」



「デジュン、キミをスラップに合わせるために私はキミを大会に参加させるよう仕向けたのだ」



「な!?」



「出来ることなら、自然にキミ達の勇者の力の共鳴で引き合わせたかったのだが、

 今はそうは言っていられん。いつまた先程のガイアの手下に襲われるかわからぬしな」



「それでオマエはオレとデジュンを引き合わせ、ガイアを倒せというのか?」



「今のオマエ達では無理だ、確実に殺される」



「じゃあどうすんだよ!!ガイアは村のみんなの仇なんだ!!どうすればいい!!」



「落ち着け、今のままではという事だ。

 これからオマエ達には、同じ勇者の生まれ変わりを探し出し、

 精霊の加護を受けに行ってもらう」



「精霊の加護やら勇者の生まれ変わりやら、一番肝心なのはオマエの正体だろ?

 一体オマエは何者なんだ?」



「ふむ、スラップ君の言うことも正しい・・・いいだろう」



そういうとドクターNは二人に近づく



「私は1000年前、伝説の勇者達をサポートしていた者だ」



「またえらいジイさんだな・・・」



「私は人間ではなく、遥か古代に造られしロボット・・・

 勇者達がガイアを封印したあと眠りに着いた、

 しかし世界の異変に気付き、私は眠りから目覚めた・・・

 そう、ガイアを倒せる者、つまり勇者の生まれ変わりを探すために!!」



「いやぁ、なんか突っ込み所が多すぎて、

 どこから突っ込んでいいのやら・・・」



デジュンはかなり引いた



「なるほどな、わかったよ

 オレもクリーチャー達には恨みもあるし、

 さっきのガイアの手下の二人組みの件もあるしな、やってやるよ」



「わかったのかよ!?」



スラップの物分かりの良さにデジュンはかなり引いた



「そう言ってもらえると助かるよ」



「でよ、オレ等これからどうすんだ?」



「それについてだが、勇者の一人の場所を突き止めたので

 そこに行ってくれたまえ」



そう言うとドクターNは簡単な地図を差し出した

ここからそう遠くはない森の中にネコフン村と書いてある



「ここには大地の精霊もいるので、精霊の加護も受けてくれ」



「なるほど、一石二鳥て訳か。だがこの森は・・・」



地図を眺めるスラップとは別に、隣にいたデジュンが叫び出した



「おっしゃああ!!やったるぜ!!すぐ出発だ!!」



「その意気だデジュン、私は残りの勇者、精霊の情報を集める

 頼むぞ、ファルスティアの未来はキミ達にかかっているのだ」



ドクターNはお約束の煙球を地面に投げ付け姿を消してしまった



「ゲホッゲホッ・・・くっそ、あの変態またかよ!!」



煙に咽るデジュンとは別に、スラップは地図を眺め悩んでいる



「しかし、この森は確か・・・」



「何やってんだよスラップ、早く行こうぜ!!」



「あ、ああ、わかった」





















薄暗い大広間に一人の男がいた

その大広間に一人の鎧を纏った、腕が6本の男が現れた



「お呼びでしょうか、エイス様・・・」



「アシュラか・・・貴様にガイア様より承った命令を言い渡す」



「ハッ、何なりとお申し付け下さい・・・」



「ネコフン村へ行き、村の住人、施設、全て破壊しろ」



「ハッ、しかしその村に何かあるのでしょうか・・・?」



「ガイア様の意志だ、口答えは許さん・・・」



その直後、アシュラの頭の中に声が流れた



『我ノ命令ガ不服カ・・・?』



それは紛れも無い、エイスの後ろの巨大なカーテンの後ろにいるガイアの声だった



「い、いえ!!滅相もございません・・・」



先程までは命令に不満を感じたアシュラもガイアの声を聞いた瞬間、萎縮してしまった



「ならば行けい、兵はいくら使っても構わん!!」



「ハッ!!」



そう返事をするとアシュラはすぐに大広間から出た



「大地の精霊・・・奴等をあそこに行かす訳にはいかん・・・」



エイスは不適な笑みを浮かべ呟いた・・・





















「うむ?今日は森の小鳥が騒がしいのぅ」



そう言うと少女は空を見上げた



「何か、不吉な予感がするのぅ、

 気のせいならば良いのじゃが・・・」