第2話 幼なじみとデート



今日は岬と付き合って初めてのデートだ。
岬が鞄が買いたいとの事で、色んな店をプラプラして、ご飯食べに行って・・・
そんななんてことのない普通のデート。

ていうか、そんなの普段から岬としてるんだけどな。
ただ違うのは、オレ達は幼なじみから彼氏彼女の関係になっただけで。

正直、そんな関係になった実感はあんまりないけど・・・
岬はいつもと変わらないしなぁ。

・・・いや、これからだよ。付き合ったばっかなんだからさ。

しかし今思えば・・・
告白したあの日を思い出し、恥ずかしくて死にそうになる。
何が「オレが彼氏とかどうかな」だよ。もうちょっとマシな告白はなかったものかと。

岬も岬で、「いいよ」て回答早いし。
照れるとか、そういうのもまったくない即答だ。

でも・・・ホント振られなくて良かった。
振られたら、もう二度と今までの幼なじみの関係じゃいられなくなる。
そう思うと、あんな告白でもかなり勇気のある行動だったなオレ。
いや、オレすごい。

「よっ。待った?」

と、そんな自画自賛的な事を考えてると、岬が来た。
岬の出掛けるときの服装は、あまり派手すぎず、地味すぎず、なんというかお姉さん?な感じだ。
フリル付のブラウス、七分丈のジーンズ、見慣れた服装も付き合った今だと更に可愛く感じるのが不思議。

「ん、全然。」

「家隣なんだし、待ち合わせなんかしなくても良かったのにー。」

「いや、なんていうか・・・こういうの良いかなって。」

岬の言う事ももっともだ。家が隣同士だし待ち合わせせず一緒に行けば良いと思うよ。
付き合う前はいつもそうだったし。

でも、でもさ・・・
「おまたせ、待った?」「全然待ってないよ」こういうカップルなやりとりを経験したかったんだよ。

「どうせ、恋人気分を味わいたいとか、そういうの?」

いや、ホントすごいよアンタ・・・
まさにその通りです。

「違ぇよ。ただ、なんとなく・・・」

でも素直に言えないオレ。

「ふーん・・・ま、いいや。じゃ行こっか。」

「おう。」

まずはあの店、次はあの店、そんな感じで色んな店を見て歩く。
正直、ああいう女の店ってのは苦手なんだよな。

当たり前だが、店内は女ばかり。
カップルもいるから、一応男もいるんだけどね・・・
それでもやっぱなぁ。何か苦手だ。
下着ショップに彼女と一緒に入る彼氏もいるらしいじゃん?
そういうの正直スゴイと思う。オレは絶対無理。

「どうこれ?結構可愛くない?」

「ん、良いと思うよ。」

「じゃあこれにしよー。」

わかっちゃいたけど、女の買い物って長いよね。
買う物を決めるまでの時間が長いのなんのって・・・

「ご飯の時間にはちょっと早いかな。そこら辺歩こっか。」

「おう。」

昔から姉ちゃんのようで、こうやっていつもオレをリードしてくれる。
岬に甘えるのは好きだけどさ、たまには甘えて欲しかったりするんだぜ。オレだって。

「岬。」

「ん?」

「手。出せよ。」

「なんだ、手繋ぎたいのかー?」

「いいから、ほら。」

オレは岬の手を握る。
子供のとき以来の手繋ぎ・・・

「無理しちゃってまぁ。」

「うるせぇ。」

たまには、こうやってオレがリード?するのも良いよね。
岬の手は指がすらっとしてて綺麗な手だ。
握ってて、何かひんやりして気持ち良い感触・・・
これが岬の手かぁ。ずっと繋いでいたい、そんな手だった。

「子供のとき以来だよね、手繋いだの。」

「そうだな。」

「あたし達、子供の頃からずっと一緒だったんだよねー。」

「え、何。どうしたの?」

「ん。功ちゃんの手、大きくなったなって。
身長も、昔はあたしの方がデカかったのにね。」

「そうだよな。オレが中学1年くらいか?
その辺りから抜いちゃったよな。」

「そうやって変わっていくんだよねー、お互い。」

「惚れ直したとか。しない?」

「なんじゃそりゃ。」

「違うの?」

「さぁ?内緒。」

「ふーん。」

「でも、泣き虫だったのに、少しは男らしくなった、かな?」

「ふーん・・・岬もさ。」

「ん?」

「ここも大分女らしくなったよな。」

オレは岬の胸をつついてみる。
ブラごしでも分かる、この柔らかさ・・・
ホントに成長したんだなぁ。

「いぃ、痛い痛い!!」

岬はオレの指を変な方向へ曲げる。

「エロくもなったけどね。」

「男だもん。」

「そうだよねぇ。あんなにエロ本持ってるしぃ。
もうちょっと隠す場所考えようよ。」

「気付いてても、そこはスルーしろよ・・・」

「はいはい。マニアックなのがあってもスルーしますよー。」

「しっかり見てるんじゃんか・・・勘弁してくれ・・・」

そうだよな。あれから何年も経ってるんだし、オレ達は成長したんだよな。
そして、オレ達の関係も成長したんだ。彼氏彼女の関係に・・・


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