第1話 幼なじみに告白



「おーっす。お姉さんが遊びに来てやったぞー。」

オレは遠田 功司。
突然だがオレは最近、2つ上の幼なじみが気になっている。

そう、この女。夏野 岬だ。

岬の家はウチの隣で、岬の家とは家族ぐるみで仲が良く、
岬ともこうやって頻繁に遊ぶ仲だ。

ずっと一緒だから、向こうはオレの事を何とも思ってないかもしれない。
オレも最初はそうだった。でも・・・何故か最近岬が気になる。
好きかと言われれば好きだけどそれが恋愛として、かどうかは自分でもまだわからないけど。

「相変わらず突然だな・・・」

「いいのいいの。で、孤高の拳の新巻買ったんでしょ?見せてー。」

「そんな好きなら自分で買えばいいのに・・・」

昔から一緒だったからか、オレ達は思春期特有の異性への恥ずかしさとか、
そういうものはお互い特に無かった。本当の姉弟のように、気軽に接する事が出来る関係だ。

こうやって毎日のように、オレが岬の部屋へ行ったり、岬がオレの部屋に来たり・・・
と言ってもついこの前まで岬は受験生だったので、遊ぶ事は少なかったが。
岬に対して素っ気無い態度を取ってしまうオレだが、正直遊べない日は寂しかったりする。

「これこれ。じゃ、あたしは孤高の拳読んでるんで。
功ちゃんは気にせずエロ本でも読むなり自由にー。」

「読まねぇって。」

岬はオレのベッドで寝転がり漫画を読む。いつもの風景だ。
オレは気にせずプレイ途中のゲームを再開する。

「今年でさぁ、あたし大学生なわけじゃん?」

「ん?ああ。そうだな。」

「やっぱ大学だと合コンとかあるのかな?」

「え、あるんじゃねぇの。」

「誘われたら行ってみようかなぁ、とか?」

「彼氏が欲しいの?」

「そりゃねぇ。」

「へー・・・」

そりゃ、岬だって恋愛したい年だろ。
オレだって今年で高校2年生、恋愛したいよ・・・

でも、一緒にいたホントの姉ちゃんのような岬が彼氏、か。

オレが言うのも何だが、岬はスタイルは良い方だと思う。
身長は高くて、胸も適度の大きさ、肩まである髪は綺麗で良い匂いするし、面倒見が良くて優しいし。
オレに対して意地悪なとこもあるけどさ。

たぶん、それなりにモテるんじゃないかと思う。高校時代に告白された事もあったみたいだし。
付き合った経験が無い岬だけど、その気になれば彼氏なんてすぐ出来るんじゃないかと思う。

いつかは彼氏が出来るとは思うよ。
でも・・・彼氏が出来たら、今のようにオレと遊ぶ事はなくなるんだろうな・・・
彼氏以外の男とは遊べないって・・・彼氏が出来るっていうのはそういう事なんだよな。

嫉妬。
あぁ嫉妬だな、これは。見事なまでの。
まだ彼氏がいるわけじゃない。それでもいつか出来るかと思うと・・・

「岬、あのさぁ。」

「んー?」

「年上とか年下とか、どっちがいいの?」

て事を聞いてみる。
年上とか言われたら嫌だなぁ・・・

「あたしは特に気にしないよ。一緒にいて楽しければ。」

「へー・・・」

年は気にしなくて、一緒にいて楽しければか。
こうやってずっと一緒にいるオレはどうなんだろ。
岬は、オレと一緒にいて楽しかったのか?
・・・オレは楽しいよ。やっぱね。

「じゃ、例えばさ。」

「なに?」

「オレって男としてどう思う?」

言ってみて、オレは何て事を聞いてるんだと後悔。
幸い顔を見られてないが、今のオレの顔は赤くなってるかもしれない・・・

「なにそれー。あ、なんだ。もしかしてあたしの事好きとか?」

「ばっ!!ちげぇよ・・・」

「違うんだ。」

「・・・・・」

さっきまで寝転がっていた岬は、いつのまにかオレの真横にいた。
普段はこんなに近くにいても何とも無かったのに、今のオレは岬で緊張している・・・
岬の顔を直視出来ず・・・岬の視線が恥ずかしい・・・

てか、ここまで言っちゃったらもう気付かれてるんじゃ・・・
だったら、もう行くしかないんじゃないか?
ここで逃げたら何かもうダメダメな気がするし・・・

「功ちゃん嘘つくときって、よく指の骨ポキポキやるよね。
て事は・・・そうか、そういうことなのね!!」

岬はケラケラ笑いながら、オレのほっぺを人差し指でプニプニし始めた。
ダメだ。長い付き合いのこの女に誤魔化しは利かない。
いや、なんでオレ好きになったんだろ・・・

昔から一緒だったから、これからも一緒でいたい。
そういう独占的な気持ちなんだろうな。
もう、これは言うしかないよな・・・

「あの、岬、さ・・・
オレが彼氏とか・・・どうかな、と。」

「ん?いいよ。」

「回答早っ!!いいのかよ!!」

こうして、幼なじみへ突然の告白をしたオレは付き合う事になった。
なんか色々不安はあるけど、フラれなくて良かったと安心・・・


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