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第3話 幼なじみの気持ち



「岬は決まった?」

「ん、あたしはドリアで。功ちゃんは決まった?」

「オレはハンバーグ定食、かな。」

「じゃあボタン押すね。」

オレ達は晩御飯として、ガーデンっていうファミレスに来ていた。
初めてのデートって事で、オレは洒落た店とか行くつもりだったけど・・・
岬はそういう店より、いつも行く店で良いとの事。

まぁ、そんな背伸びするより、普段通りで良いって事だよね。
変に気を遣わなくて良いので、楽っちゃ楽だけど。

「ご注文はお決まりですかー?」

「あれ、桜井?」

「遠田君?」

「桜井、ここでバイトしてたんだ?」

「うん、春休みからバイト始めたー。」

「ふーん。」

この小さい店員の子は桜井 綾音。
オレと高校が同じ女だ。こんなとこでバイトしてたのか。

「で、ご注文はお決まりですか?」

「ドリア一つと、ハンバーグ定食で。」

色々聞きたい事もあったけど、バイトの邪魔になるしな。
オレはとりあえず注文する。

「かしこまりましたー。」

学校ではマシンガントークてうるさい女も、さすがにバイト中はちゃんとしてるんだな。
なんか新鮮な姿でちょっと可愛いと思ってみたり・・・

「功ちゃん、ああいう子が好みなんだ。」

「え?なんで?」

「顔がニヤニヤしてますよ。あぁやだやだ。
あたしをたぶらかしておいて、すぐ浮気かい。」

「えー・・・そんなんじゃないって。」

「まぁ、確かに小さい女の子って可愛いしねぇ。
功ちゃんは年下系が好きだったんだね。」

「意地悪だな。オレは岬の事がこんなにも好きなのに・・・」

「うるせぇ黙れ。」

「ひ、ひどい・・・」

いつもオレ達はこうやって冗談交えつつ会話をする。
付き合った今でも、それは変わらない。

「今日は買い物付き合ってもらってありがとねー。」

「おう。」

これはこれで良いんだけど・・・
それでも、もうちょっとこう・・・彼氏彼女っていうのが欲しいと思ってみたり・・・

「あ、功ちゃん。」

「ん?」

「あのさ・・・今日、部屋行ってもいい?」

「え?あ、うん・・・」

き、来た・・・
デートを終え、夜に女の子が部屋に来たいって・・・
これは期待していい展開ですか!?

岬はオレのベッドに寝転がり・・・
あぁ、ついにオレと岬が結ばれるときが!!

「この前、新巻見せてもらって、前の巻が気になってさぁ。」

ですよねー。
そんな事だろうと思ったわ。いや、ちょっとは期待してたけどさ・・・

「くやしいです!!」

「え、いきなりなに?」

「いや、なんでもない。」

付き合ったくらいだから、オレの事嫌いじゃないとは思うけど・・・
でも、ほんとオレの事どう見てるんだろ。

「岬ってさ。付き合うなら、一緒にいて楽しければって言ってたじゃん?」

「そだよ。」

「オレといて・・・どう?」

岬は起き上がり、オレを見て言う。

「どうって・・・
つまらなかったら、遊んだり付き合ったりしないよ。」

「そっか。そうだよね。」

「不安?」

「ちょっと。」

「・・・お互い、まだハッキリ言ってないもんね。
わかるよ、そういうの。あたしだって・・・」

なんだ、いつもと雰囲気が違うぞ。

「功ちゃんから言ってよ。」

「え、なにを?」

「会話の流れで分かるじゃん!!空気読め、バカ!!」

「えー。ほんとわからん。」

「はぁ・・・あたしはさ、昔から功ちゃんの事好きだったんだよ。
ずっと一緒だったから、なんていうか安心出来るっていうか・・・」

「そうなの?」

「やっぱ気付かず付き合ってとか言ってたのね・・・」

「ごめん・・・」

知らなかった、まったく。両思いだったなんて・・・
面と向かって好きだって言ったからか、岬は顔赤くして恥ずかしがる。
か、可愛い・・・

「あたしは言ったんだから、功ちゃん言ってよ。」

「ガーデンで言ったじゃん。」

「あんなふざけたのじゃなくて。ちゃんと言ってよ。」

「・・・オレだって、岬の事ずっと好きだったよ。」

こ、これは告白より恥ずかしい・・・
でも岬も言ったんだ。オレもここで言うんだ。

「だから、合コンとか彼氏欲しいとかさ・・・
今まで一緒だった岬が、他の男に取られるかもってのが嫌だった・・・」

「そんなの、あれだよ。
功ちゃんがどんな反応するか見たかったていうか・・・」

あぁ。昔からよくあるオレへの意地悪ね。

「あたしだってさ・・・功ちゃん、学校でバレンタインチョコもらうでしょ?
ああいうのも、結構あたし的には嫌なんだよ。ホントはね。」

「そうなんだ・・・」

だからか。義理と言いつつ、岬から貰うチョコは手作りだったり。
その何気ないヤキモチ、かなり嬉しい・・・

「岬!!」

「え、ちょっと!?」

今まで見せた事のない岬の可愛さにたまらなくなり、オレは抱きついた。

「もう・・・」

岬はオレの頭を優しく撫でる。
オレに甘えて欲しいと思ったけど、オレはやっぱ甘える方が好きかもしんない・・・

「岬、キスしたい。」

「いきなりすぎる。」

「嫌?」

「嫌じゃない・・・」

そう言い、岬はオレに顔を近づけ・・・

一瞬。ほんとに一瞬だった。
岬の唇がオレの唇に触れたのは。

一瞬だったが、岬の唇の感触ははっきりわかった。
ぷるぷるしてて、暖かくて・・・それでいて優しいキス。

オレはあまりの恥ずかしさ、嬉しさから、ベッドでごろごろ転がる。

「ちょ、恥ずかしがりすぎだって。」

「いや、なんというか・・・ありがと。」

「いえいえ。これからもよろしくね。」

「オレのほうこそ。」

キスをして一歩前進したオレ達。
色々不安もあったけど、岬の気持ちが聞けて良かった。
オレ達、うまくやってければ良いな・・・


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